私が若い頃努めていた学校に、M先生というたいへん指導力があり授業も上手な先生がいました。

私がその秘訣を教えてくれるように頼んだら、先生はあるノートを見せてくれました。

グローバル時代の今、子どもに本当に必要な12の力

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(本連載を1冊にまとめました)

先生は、毎日その日の授業でうまくいったことや反省点などをノートに記録していたのです。
20年間1日も欠かさず書いてきたそうで、家に何十冊も記録ノートがあるとのことでした。

私は、M先生の圧倒的な実力がこの地道な努力の継続によって培われてきたことを知り感動しました。

また、これは雑誌で読んだ話ですが、ある会社の経理部で働くSさんは税理士の資格を取るために入社直後から毎日20分勉強することに決めたそうです。

日々の業務に追われる中で時間を取るのは大変でしたが、Sさんは3年間勉強し続けて合格しました。

税理士資格によってキャリアアップしたSさんは、仕事もますます順調で社内の立場と収入も上がったそうです。
アメリカへの赴任も決まり現在はトーイック900点を目指して勉強中とのことです。

この2人の例からも明らかなように、努力を継続する強い意志力が人生をすばらしいものにしてくれるのです。

健康のためのウォーキング、禁煙、禁酒、ダイエット、資格試験の勉強、整理整頓など、決意したことが続かない人も多いと思いますが、意志力さえあれば人はなりたい自分になれるのです。

では、子どもたちの意志力を高めてあげるにはどうすればいいのでしょうか?
大切なのは努力を続けて成功する体験を積み重ねることです。

それによって、自分の意志力に自信を持つことができ、「自分は続けられる。成し遂げられる」と思えるようになるのです。

本当に自分でそう思えることこそが、最大の力になるのです。

私が教えたピアノが大好きな子は、毎年のピアノ発表会を楽しみにしていて毎朝ピアノを練習していました。

また、ある子は私が受け持った2年生のときから宿題以外の自主勉強をやり始め、6年生で卒業するまで続けました。
そろばんをがんばり続けて、中学1年生で5段に合格した子もいます。

いろいろな例を見てきて言えるのは、努力を続けられるケースに共通するのは、本人自身が目標を持ってそれを楽しめていることと親が上手にほめていることの2つです。
これによってすばらしい成功の体験を味い、意志力が高まるのです。

親が言うから渋々やっているとか叱られるからやっているということでは、続けられないことが多いのです。

でも、この辺を勘違いしている親はけっこういます。
嫌なこともがまんさせて、無理にでも続けさせることが子どもの意志力を高めることだと勘違いしているのです。

中には親がやらせたいことをやらせておいて、子どもが泣いて嫌がっても「ここでやめさせるとやめ癖がつくのではないか?続けることの大切さを教えなければ」と無理に続けさせる例もあります。

叱りつけたり罰を与えたりする親もいます。

でも、こういうやり方で子どもの意志力を高めることは絶対にできません。
むしろ逆効果で、子どもはやりたいこともやれない自分への無力感を持つようになります。

そういう状態にあるなら、早く見切りをつけてもっと本人に向いている別のものに切り替えた方がいいと思います。

冒頭で紹介したM先生もSさんも、自分でやりたいことだから努力を継続できたのであって、決して誰かに強制されたわけではありません。

初出『子ども英語ジャーナル』(アルク)2011年10月号

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