何か新しいことに出会ったとき「自分はやれる。がんばれる」と思える人と「自分には無理。できない」と思ってしまう人がいます。
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(本連載を1冊にまとめました)
そして、「やれる」と思える人は、積極的に取り組み実際できるようになります。
反対に、「無理」と思ってしまう人は逃げ腰になり結局できなくなってしまいます。
人生では誰にもいろいろな機会が巡ってきますが、その度ごとに「やれる」と思うか「無理」と思うかで人生の分かれ目があるわけです。
では、「やれる」と思えるのはどんな人なのでしょう?
それは、自分に自信がある人です。言い換えると自己肯定力のある人です。
自分に自信がなく自分を肯定できない人が、「やれる」と思えるはずがありません。
ところが、ユニセフや内閣府などの調査では、日本の子どもたちの自己肯定力は諸外国に比べて著しく低いという結果が出ています。
これからグローバル時代を生きる子どもたちが、自己肯定力を持てるようにしてあげることは、とても重要な課題と言えます。
そのために大切なことはいろいろありますが、私は特に日常生活で親が子どもに掛ける言葉が大切だと思います。
なぜなら、親の言葉は子どもにとって環境そのものであり、子どもたちは親の言葉によって自己イメージをつくっていくからです。
具体的に言えば、子どもを否定的に叱ることを減らして、ほめることを増やすことが大切です。
よく「近ごろの親は子どもを叱らないからダメなんだ」と言う人がいますが、事実は全くその反対です。
子どもたちは毎日とてもよく叱られています。
「また宿題やってない。なんで宿題やらないの。自分でやらなきゃだめでしょ」「もっと丁寧に書かなきゃダメでしょ」などの言い方で、否定的に叱られている子が多いのです。
このような「ない」とか「ダメ」などの否定的な言葉を毎日浴びていると、子どもは「自分はダメな子だ。自分はがんばれない子だ」と感じて自分に自信が持てなくなります。
もちろん、親は一つ一つの物事について言っているのであり「あなたはダメ」などと人格を否定しているつもりはありません。
でも、いくら親は物事について言っているつもりでも、それが重なれば人格否定と同じ結果になるのです。
なぜなら、子どもにしてみれば、それを全部言われているのは他ならぬ自分以外の誰でもないからです。
ですから、否定的な言葉は極力避けて「先に宿題やっておくと後はたっぷり遊べるよ」などの肯定的な言葉を使うことが大切です。
あるいは、それほどの事実がなくても「字が上手になってきたね」と先にほめてしまうのも効果的です。
それが無理なときは、せめて単純な言い方に徹することです。
「さあ、宿題やりなさい」「あと2分で取り掛かろう。用意、ドン」などです。
そのとき、「またあなたはやってなくて…。いつもだらしがなくて…」などと余分なことを言わないようにしましょう。
また、日頃から子どものほめられるところを見つけ出して1日1回はほめるようにしてください。
その子が輝いている瞬間の写真を、目につくところにたくさん貼っておくのもお薦めです。
運動会で1位になった、習字で賞状をもらった、応援団で活躍した、ピアノの練習をがんばっている、お風呂洗いをがんばっているなど、達成の瞬間と努力の過程が思い浮かべられる写真です。
自分の輝いている姿を常に反芻することで、子どもは自己肯定力を高めることができます。
いい写真は、子どもを伸ばすためにフル活用してください。
初出『子ども英語ジャーナル』(アルク)2011年9月号
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