これはある教材会社の役員さんに聞いた話です。

八年ほど前、彼は小学生のための新しい教材を作るチームの責任者になり、メンバーに新教材の基本コンセプトを1カ月以内に作るよう伝えました。

グローバル時代の今、子どもに本当に必要な12の力

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(本連載を1冊にまとめました)

そして、1カ月後のプレゼンで入社3年目のSさんの提案に驚いたそうです。
Sさんは、他社の全ての教材を徹底的に調べ、現場の教師や塾の経営者を取材し、家庭教育に関する各種の統計資料を分析し、その上で売れ筋のコンセプトを導き出していました。

Sさんの提案は、いくつかの修正を経てから新教材の骨子として採用されました。
現在、Sさんは海外展開のプロジェクトリーダーに抜擢され大活躍しているそうです。

感心した役員さんが後で本人に聞いた話では、Sさんは子どものころ自由研究が大好きで夏休みはもとより日頃からいつも何らかの自由研究をしていたそうです。

一度は県知事賞ももらったほどで、一つのことを深く追究して調べるのが大好きとのことでした。
子どものころから培ってきた追究力が仕事の場で大きく開花したわけです。

これからのグローバル時代では、独創力と共にこのような追究力がどんな分野においても重要になってくると考えられます。

深く掘り下げることで他との差別化が可能になり、特長あるものを生み出すことができるからです。
では、子どものころから追究力を育てるには、どうすればいいのでしょうか?

そのためには、日頃から子どもの疑問や興味が追究につながるようにしてあげることが大切です。

例えば、子どもが「なぜアメンボは水に浮かべるの?」と聞いてきたときは、子どもに予想を言わせて一緒に考えたり、図鑑やネットで調べたり、実際に虫眼鏡や顕微鏡で見てみたりというようにするのです。

ところが、親にはこれができません。
なぜなら、子どもが持つ疑問のほとんどは大人には興味のないことであり、そんなことより一冊でも多くの問題集をやらせたいと思っているからです。

でも、そこで子どもの目線に立ってその疑問に付き合うことが大切です。
同時に、子どもが追究しやすいような環境を整えるように心がけることです。

リビングに図鑑10冊、国語辞典、地図帳、地球儀などがあれば、テレビや親子の会話に出てきたことをすぐ調べることができます。

テレビで見たトラに興味を持てば動物図鑑を、インドに興味を持てば地理図鑑、地図帳、地球儀を、というように調べるのです。ひとつ調べてわかると、新しい疑問が出てきてまた調べたくなります。

このサイクルによって芋づる式に知識を増やすことができます。
これはとても楽しいことです。こういう体験が子どもの追究力を育ててくれるのです。

もう一つ効果的なのが、日頃から疑問に思ったことや調べたことを書くノートを子どもに持たせてあげることです。

これについては、子どもたちを「追究の鬼」に育てる指導で有名な教師・有田和正先生の「はてな?帳」の実践が有名です。

このノートには、疑問を持つ、調べて書く、新しい疑問を持つ、また調べて書く、というように子どもたちの追究過程が実によく表れています。

子どもたちは、教科書や図鑑だけでなく、必要なところに取材に行く、人にインタビューする、手紙で質問する、電話で聞く、ネットで調べるなど、いろいろな追究の仕方を駆使しています。

先ほどのSさんのような追究の仕方を子どもたちがやっているわけです。
この「はてな?帳」も、ぜひご家庭で試してみてください。

初出『子ども英語ジャーナル』(アルク)2011年7月号

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