皆さんの中で、次のようなことで悩んでいる方がたくさんいらっしゃると思います。


我が子がだらしがなくて困る。
特に物の整理整頓ができない。


物の管理能力がない。
家でも学校でも机の周りは散らかり放題で、忘れ物もよくする。
明日の持ち物の支度も、しっかりできない。


私の経験ですと、子供たちの約1割はこれに当てはまります。


したがって、多くの方々が、我が子のこのような状態を嘆いていらっしゃいます。
ですが、その嘆きの程度にはかなり個人差もあるようです。


一応心配はしているけれども、まあ仕方がないかなくらいの方もいらっしゃいます。
中には、このことが大変気になり、何とか直してやろうと考えている方もいらっしゃいます。


問題は後者の場合です。


これらの方々は、何とか今のうちに直してやろうとするあまり、ついつい小言が多くなります。
「なんで使った物をすぐ片付けないの!」
「出しっぱなしの物は、捨てて良いんだね!」
「何度言ったら分かるの?だらしがないわね。」
「忘れ物をしてもお母さんは知らないからね。」
「○年生にもなって、自分で明日の支度もできないの?」


顔を見ればこのような小言、ということになりかねません。


私の21年の小学校教師の経験で言わせていただければ、このような状態の子を整理整頓が得意な子にするというのは、かなり難しいことです。
ただ小言を言っているだけでは、直りません。


私は、心理学の専門家ではないので、断定はできませんが、これはかなりの程度持って生まれたもののような気がします。
ADHDとまではいかなくても、です。


もしかしたら、乳幼児期の躾や環境が影響しているのかもしれませんが、分かりません。
私には、どうしても、生まれつきの部分が大きいような気がしてなりません。
お母さんがとても整理整頓が上手で家の中がいつも整然としているという家庭の子でも、整理整頓が苦手という子はたくさんいるからです。


話は少し変わりますが、私は結構方向音痴で、自分が住んでいる市内でも、車で目的地まで最短距離でたどりつけないことが多いのです。


私のある友人は、方向に関して動物的とも言える直感を持っています。
全く初めての土地でも、かなり的確に目的地までたどりつけます。
それについて、その友人が何か特別な訓練をしたというわけでもないのにそうなのです。


先程の整理整頓の能力も、かなりの程度そのような生まれつきのもののような気がします。
ですから、片付けができない子に上記のような小言を言ってみても無駄です。


忘れ物をして自分で反省して気を付けるようにさせたいと考えて、敢えて放っておくという方法を採る方がかなりいます。
この方法には、実は大変な問題があります。


このようにすると、その子は毎日毎日忘れ物をし続けることになります。
なかなか、親が思うように反省して直るということは滅多にありません。


それどころか、授業中何か必要なものを忘れていると、それだけで子供のその授業に対するモチベーションは極度に下がってしまいます。
学校では先生に毎日注意され、怒られるようになります。
したがって、友達の評価もぐんぐん下がります。


その子はどんどん自信がなくなり、元気がなくなっていきます。
その子の良い面が、全く出せなくなっていきます。


忘れ物をして自分で反省して気を付けさせたいという発想は、至極もっともなものです。
ですが、それはある程度管理能力がある子には有効ですが、そうでない子には逆効果です。
その結果は、上記のようなことになるのが落ちです。
このような子の場合は、放っておくということと、小言をいうということは効果がないばかりか、マイナスです。


では、だらしがない子をどうしたら良いのでしょうか?


その子の程度にもよりますが、まず第1段階として、子供と一緒に明日の持ち物の支度をするということから始めると良いと思います。
次の段階では、親が見ているところで、自分で支度をさせます。
その次の段階では、自分でやらせておいて、後から親が確認します。


表のような物を作っておいて、しっかりできたら丸を付けるというのも良いでしょう。
その子の実状に合わせて、具体的な工夫をすることが大切だと思います。
まさに、親力の発揮の場です。


ですが、その段階を進めることを急がない方が良いと思います。
なぜなら、先程も言いましたように、この能力はなかなか目に見えた向上が見られない場合が多いからです。
親がぴりぴりしているときはできても、そこを過ぎれば元の木阿弥というのでは意味はありません。
気長にやることが必要です。


○年生だからこうするというのではなく、その子の管理能力や整理整頓の能力に合わせたやり方をして欲しいと思います。


そして、その際、小言は一切なしにしてください。
呆れたり、怒ったり、マイナスイメージの言葉をぶつけたりすることは一切なしにしてください。
淡々と事を進めてください。
そして、上手にできたり、少しでも向上が見えたりしたら、そのことを認め励ましてやってください。


これは次の日の支度のことですが、このことだけでなく、身の回りの整理整頓も段階を踏んだねばり強い取り組みが続けば、だんだん上手になっていくこともあります。


私が憂えるのは、子供のだらしなさがたまらなく目についてしまい、そのことばかりに関心がいってしまう方々がとても多いということです。
始終そのことが気になり、顔さえ見れば小言を言ってしまうという方々がとても多いのです。
これでは、その子の良いところが消えてしまいます。


もうそれは今日から止めましょう。
気持ちを落ち着けて、先程の3段階を気長に実行してみてください。
他に方法はないのですから。


なかなか効果が出なくても焦らないことです。
開き直ることです。
親ができることを粘り強くやり、結果においては天命を待つことです。
くれぐれも、そのことを気にかけるあまり他の良いところが見えなくなってしまう、というようなことがないようにしてください。


たかが、(と、敢えて言います)物の管理能力や整理整頓の能力のことだけで、その子が自信を失うというようなことがないようにしてください。
物の管理能力や整理整頓より大事なものは、いくらでもあるのですから。




それでは、「その子の実状に合わせて、具体的な工夫をする」ために、いくつか参考になることを挙げていきたいと思います。


1 次のようなことを一覧にして、目に見えるところに張っておく。

・すばらしい朝のために

   顔を洗って、ますます美人
   食器を洗えば、心もぴかり
   歯磨き上手、息もさわやか
   出すもの出して、体も軽く
   花に水やり、明るい気持ち
        着替えてきぱき、気分最高


リズミカルな標語にしておけば、みんなで唱えながら楽しく躾ができます。
ちなみに、上のものは7、7調になっています。


家に帰ってからやるべきことや夜やるべきことなども、このようにすると良いですね。


下のようなものでもできますが、子供の乗りが違うと思います。

   
   朝起きたら、すぐに顔を洗う。
   食べたら、自分で食器を洗う。
   歯を磨く。
   トイレに行く。
   花に水をやる。
   着替える。




2 上のものを生活表にして、しっかりできたら花丸を付ける。


3 学校でやるべきことを書いてカバンの蓋の内側に貼っておく。

例えば、次のようなことです。

・着いたらすぐにカバンの中身を出します。
・次に宿題を出します。
・帰りのカバンの支度の後、机の中に残っているものがないか見ます。
・上靴を持ち帰ります。(金曜日)


これも、先述のように楽しいものができると良いですね。
読者の皆さん、ぜひ、チャレンジしてみてください。


4 ボールペンや油性マジックで手に大切なことを書く。

美的には少し問題がありますが、とても目につくのは確かです。
でも、これは嫌がる子もいますので、本人が嫌がったらやめましょう。