鉛筆浮きができたら、次は蹴伸びです。
蹴伸びとは、文字通り蹴って伸びることです。

どこを蹴るかというと、プールの壁です。
プールの底を蹴る蹴伸びは難しいので、初心者には無理です。

両手の平を合わせて、顔をつけて、両足の膝を曲げて浮きます。
浮いたら、正しい立ち方で立ちます。

まず、ここまでを繰り返して練習します。
ここでのポイントは、2つあります。
1つ目のポイントは、顔をつけることです。
これをしっかり練習しておかないと、壁を蹴って少し進んでから顔をつけるというようになりがちです。
顔をつけてから蹴るということを徹底しておくことで、それが防げます。

2つ目のポイントは、両足の膝を曲げて浮いたら、正しい立ち方で立つことです。
すぐ壁を蹴らせてはいけません。
ちゃんと両足の膝を曲げて浮くということを徹底指導します。
そのためにわざわざ立たせるのです。
このポイントをしっかり指導しないと、片足で壁を蹴ったり、両足で蹴った場合でもいい加減な蹴り方をしてしまったりということになりがちです。

ここまでできたら、いよいよ壁を蹴らせます。
両手の平を合わせて、顔をつけて、両足の膝を曲げて浮いて、両足で壁を蹴ります。
蹴ったら、力まずに体をまっすぐに伸ばします。
「力を抜いて、柔らかくて真っ直ぐな鉛筆になろう。」と言うとそうなります。
このとき、進行方向を見たくて多くの子が頭を上げた形になります。
そうすると、水の抵抗が大きくなります。
また、あまり頭が上がると、足が沈んでしまいます

この形が身に付いてしまうと、バタ足やクロールのときも頭が上がったままになってしまいます。
それを防ぐために、よく「おへそを見なさい。」という指示が使われます。
そうすると、あごが引き締められて頭が下がります。
しかし、本当におへそを見ようとして頭が下がりすぎる子が必ず出てきます。
また、おへそを見ていると進行方向が見えないので、子供は不安になります。
そして、また元のように頭が上がってきてしまいます。

そこで、私はこう指示します。
「頭を下げて、目玉だけ上げて。」
「顎を引いて、目玉だけ上げて。」
これなら、進行方向が見られるので子供は安心します。

さて、上手になればこの蹴伸びだけでも10メートルくらい進むことができます。
そのために必要なのは、次のことです。
力を抜いて、柔らかくて真っ直ぐな鉛筆のようになること。
頭を下げて、目玉だけ上げること。
両足で強く壁を蹴ること。
水の中で少しずつ息を吐くこと。

蹴伸びの次は、バタ足です。
バタ足のコツは、次のことです。

1 足の甲で水を打つ。
2 足を沈ませないで、水面すれすれで水を打つ。
3 膝と足首の力を抜く。

バタ足もスモールステップで進めると上達が早くなります。

1 水に入らず、プールサイドで練習する。
プールサイドでうつぶせになって、足を動かします。
この「畳の上の水練」でイメージを作っておくことが大切です。

2 プールサイドに腰掛けて、足だけ水に入れて練習する。
この時、足の甲を使う感覚を身につけます。
また、膝と足首の力を抜く感覚も身につけます。

3 プールに入り、両手をプールサイドに掛けて練習する。
この時上記3つのことを意識させることが大切です。
最初は顔を上げてやります。
慣れてきたら、水に顔をつけてやります。
その際、できたら、水の中で半分息を吐きます。
残りを吐きながら顔を上げて、息を吸ったらまた顔をつけます。
これは、バタ足と息継ぎを一緒にやるのでかなり高度です。

4 大人が子供の両手を引いて進みながら練習する。
慣れたきたら、3と同じ息継ぎの練習もします。

5 ビート板で練習する。
このとき、最初は、大人がビート板を持って引っ張ってやると良いでしょう。
慣れてきたら、3と同じ息継ぎの練習もします。

6 ビート板なしで練習する。
このとき、両手の平を重ね合わせるようにすると良いでしょう。
なお、このときは、息継ぎの練習は無理にしなくて良いと思います。
クロールの練習の時に、ステップを踏みながらやった方が良いからです。

以上で、バタ足の練習は終わりです。
繰り返しますが、バタ足は次のことを大切にして練習するようにしてください。

1 足の甲で水を打つ。
2 足を沈ませないで、水面すれすれで水を打つ。
3 膝と足首の力を抜く。

次は、いよいよクロールです。
クロールの練習も最初は「畳の上の水練」が大切です。
プールサイドで腕の動きを練習します。
気をつけることは、次のことです。

1 手の5本指を閉じること。
「じゃんけんのパーの形では、水が逃げちゃうよ。」

2 手の平が体の真ん中を通るようにかくこと。
初心者は体の外をかきがちです。
そうするとうまくかけません。
「手は顔とおへその下を通るよ。」

3 肘は曲げすぎないこと。
子供に肘を曲げなさいと言うと曲げすぎて、平仮名の「へ」の字のようになってしまいがちです。
「肘は少しだけ曲げなさい。平仮名の「く」の字くらいです。」と言うと丁度良くなります。

4 腕を動かすときは、ローリングを意識させること。
ローリングとは、体の中心を軸として体全体を左右に45度くらいずつ回転させることです。
ただし、頭は動かしません。
つまり、腕だけグルグル回すのではなく、右手で水をかき上げるときは右肩も右半身も水面に出るようにするのです。

ローリングはクロールにおいてとても重要です。
これによって腕のかきがなめらかになり、効果的に水をかけるようになります。
また、これができなければクロールの息継ぎはうまくいきません。
子供には次のように言うと良いでしょう。
「串に刺さった団子のように、体を回転するんだよ。」
「頭は、回転しないよ。」
「肩も体の横も水の上に出るよ。」 

5 リカバリーは肘を高くすること。
リカバリーとは、水をかき終わった手を前方に戻すことです。
腕を曲げて肘を高く上げて戻せば、体のバランスを崩しません。

ですが、難しい場合は、最初、手を高く挙げて戻す形になります。
それから、だんだん、肘を曲げられるようにしていくと良いでしょう。
ステップ・バイ・ステップで進みましょう。
なお、いずれの場合でも、リカバリーした手はできるだけ遠くで入水するように意識させることが大切です。


以上の5つが、クロールの腕の動きのポイントです。
水に入る前に十分練習しておくことが大切です。

さて、水に入ったら、まず、ビート板を使ってのクロールです。
これで、上記の5つのことを徹底練習します。
息継ぎはさせないで、息が切れたら立たせます。
ここで自己流の息継ぎをさせると、その癖がついてしまいます。

その次が、面かぶりクロールです。
これはビート板なしのクロールです。
ここでも、上記の5つのことを徹底練習します。

特にローリングを意識させます。
右手でかくときには、右肩と右の腰骨も水面上に出るようにします。
左も同様です。
要するに、体の右側全部が出るように意識させるのです。
ただし、頭はローリングしません。
そして、このときも息継ぎはなしです。

それができたら、初めて息継ぎの練習です。
クロールの息継ぎは、なかなか難しいと言われています。
息継ぎの時に頭を縦に上げてしまいがちだからです。
頭を縦に上げると下半身が沈んでしまうのです。
それを防ぐために役立つのが先程から言っているローリングです。

息継ぎのときは、体全体を少し余分にローリングします。
そして、頭もローリングするのです。
そうするだけで、顔も口も水の上に出ます。
ローリングができるようになっていれば、その自然な延長線上で息継ぎができるのです。
ローリングができるようになっていれば、頭を縦に上げて息継ぎをすることはなくなるのです。
こういうわけで、ローリングの練習はクロールにおいてとても大切なのです。

息継ぎの練習も、まず、ビート板を使ったり、ビート板の代わりに大人の手を支えにしたりすることから始めると良いでしょう。

息継ぎの練習の時には、いつも私は次のように叫んでいます。
1「ローリング!」
2「体を真横にする!」
3「肩と腰骨も出す!」
4「耳を腕につける!」
1,2,3、4は結局全部ローリングに関する指示なのですが、言い方を変えていっているわけです。
ことほど左様に、クロールにおいてはローリングが大切なのです。

さて、以上でクロールについての説明を終わりますが、最後に以下のことを付け加えます。
うまくいかないときは、常に一歩前に戻って基本練習をすることが大切です。
「畳の上の水練」で動きを練習することも大切です。
陸上でできないことは、水の中でも絶対にできないからです。

親野智可等のメルマガ
親野智可等の本
遊びながら楽しく勉強
親野智可等の講演
取材、執筆、お仕事のご依頼
親野智可等のお薦め
親野智可等のHP