友人と久しぶりに酒を酌み交わしながら、食事をしました。
その友人とは年に4回くらい会います。

その日は、3ヶ月ぶりでした。

乾杯をしてささやかな宴が始まったとき、その店の別の客がテレビをつけました。
折しもアテネオリンピックの真っ最中で、柔道に水泳にソフトボールにと大変な盛り上がりです。
私たちもそのテレビを見ながら、柔道の好成績に歓喜し、水泳の勝ち負けに一喜一憂し、ソフトボールの惜敗に溜め息をつきました。

そして、酔った勢いでにわか評論家になり、ああだこうだとやっていたわけです。
こんな様子でその店に3時間くらいいました。
おかげで楽しい時間が過ごせたという感じで、お互い3ヶ月後の再会を期して別れました。

ですが、別れて一人になってみると何となく物足りないような、味気ないよう気がしてくるではありませんか。
なるほど、今日の再会を振り返ってみると、話題はオリンピックのことばかり。
お互いの近況も満足に知らないまま別れてしまったのです。

いつもなら、自分の仕事の様子や情報を教え合ったり、悩みを打ち明け合ったり、昔の思い出を語り合ったり、共通の知人の近況を知らせ合ったりするはずです。
それが、再会の楽しみであったはずです。

ところが、今回はテレビ漬けで終わってしまいました。
テレビを見ている間はそれなりに面白くて、友人とオリンピックをネタに会話を楽しんでいたはずだったのですが、終わってみると何という空しさでしょう。

それで、このことを改めてよく考えてみると、私たちが家族と過ごす日常生活にも大いに当てはまることです。

私は、数年前、小学3年生の子供36人に次のようなアンケートをとりました。
「食事の時に、テレビはどうなっていますか?」

ア 消している                    7人
イ ついているけど、家族のおしゃべりの方が多い   18人
ウ 家族のおしゃべりより、テレビを見ている方が多い  6人
エ ほとんどテレビに集中している            5人

皆さんの家ではどうですか?

私は、食事中にテレビを消すことをお勧めします。
食事の時間は、人と人とのコミュニケーションにとって最高の機会です。
一緒に食べ物を食べながら語り合うことが、人と人との心の結びつきを強める一番の方法だといいます。
ですから、男性は女性を食事に誘うのです。
そのとき、テレビを見ながら食べるなどということはあり得ません。

家族の食事でも同じです。
子育て中の家庭では、なおさらです。
テレビを消して、お互いの話に耳を傾けましょう。
子供は学校のこと、友達のこと、先生のこと、勉強のことなどをいろいろ話し出すはずです。

それをしっかり聞いてやり、親もまた話しましょう。
おじいちゃん、おばあちゃんにもいろいろ話してもらいましょう。
コミュニケーションの最高の機会を、100パーセント生かしましょう。
それぞれがいっぱい語り、お互いがしっかり耳を傾け合うのです。
こういう家庭に育つ子は幸せです。
絶対、真っ直ぐにすくすくと育ちます。
家族や友達を大事にし、人間関係を大切にする子になります。

こういうことをせずに、親子の会話がないとか、心の触れ合いがないとか嘆いても仕方がありません。

先程のアンケートの「ウ 家族のおしゃべりより、テレビを見ている方が多い」や「エ ほとんどテレビに集中している」に該当する家庭は、要注意です。
親子だから放っておいても心の結びつきはあるなどと考えていると、大間違いです。
毎日のコミュニケーションの積み重ねが、家族の質、親子の質を決定づけるのです。
1回1回の食事時間の質が、家族の質、親子の質を決定づけるのです。

テレビを見ながらの食事がもう習慣になっているので、今さら変えられない、という家庭もあるかも知れません。
そういう場合は、1週間に1回とか2回とかでも良いのです。
○曜日の食事はテレビを消す、と決めておいたらどうでしょうか?

せめて1週間に1度は、食事中のノー・テレビをやってみてください。
そして、だんだん増やしていくと良いと思います。
先程のアンケートでは、36人中7人の家庭が毎日食事中はノー・テレビです。
ですから、その気にさえなれば、やれないことはありません。

ですが、突然、無理矢理やってもうまくいきません。
けんかになったら、逆効果です。
家族や子供を上手に説得してください。
同意を得られるように、理論武装したり、効果を実感させてやったりしてください。
そして、ねばり強く、少しずつ進めてください。
成功の暁には、素晴らしい未来が約束されます。
そのくらい大きなことなのです。
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