私が教師として座右に置いてきた本の一つが論語です。
例えば、私が好きな言葉がこれです。

子曰わく、その身正しければ、令(れい)せずして行なわれ、その身正しからざれば、令すと雖も(いえども)従わず。

先生がいわれた。
「政治家の姿勢が正しければ、命令をくださないでも実行される。
 政治家の姿勢が正しくないと、いくら命令をくだしても国民は服従しない」

                (中央公論社の中公文庫「論語」貝塚茂樹訳注より)

政治家というところを「大人」「教師」「親」「上司」などとと読みかえます。
そして、「国民」というところを「子供」「部下」などと読みかえます。

私は、何回も自分の失敗と共にこの言葉の意味をかみしめてきました。
例えば、典型的な例はこうです。
私がイライラしていて、小さなことで子供たちを叱ったとします。
そうすると、それが子供たちにうつり、子供同士のけんかが多くなります。
そのけんかを見て、私が「友達と仲良くしなさい。」「友達に優しくしなさい。」と怒鳴ります。

これは、「教師の姿勢が正しくないと、いくら命令をくだしても子供は服従しない」ということの実例です。
こういうことを、私は何回も繰り返してきました。
そして、段々この言葉が私の中に強く響くようになってきました。
みなさんも、もう十分繰り返し経験済みではありませんか?

私の知っている教師の中には、本当に私自身が子供になってその先生に教わりたいと思う人が何人かいます。
その人たちは、皆「教師の姿勢が正しければ、命令をくださないでも実行される。」に当てはまります。

日本のことわざで言えば、「言うことは聞かないけど、することは真似る。」ということです。

親がゴミを平気でポイ捨てしていれば、子供もそうなります。
夏の花火会場で、そういう光景をいくつか見ました。
つい最近も、保育園や幼稚園の子供の手を引っ張って、赤信号の横断歩道を渡る親を見ました。
少しは、子供のことを考えて行動してもらいたいです。

親がゴミを拾う人なら子供もそうなります。
「その身正しければ、令(れい)せずして行なわれ」です。
親がテレビばかり見ていて勉強しなさいと言っても、効果はありません。
「令すと雖も(いえども)従わず」です。
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