お笑いタレント爆笑問題の出ている番組を見ていて思ったのですが、彼らはなぜあんなに面白いのでしょう?
練習して練り上げられた漫才も面白ですが、私が感心するのはアドリブの冴えです。

あらかじめ決めてあったわけでもないのに、彼らは流れの中で瞬時にとても面白いことを言うことができます。

しかも、この場面ではこれ以上あり得ないというほどツボを押さえた笑いを演出してくれます。
爆笑問題だけでなく、たけし、所ジョージ、明石家さんま、ダウンタウン、などにも、正直感心します。
その頭の回転の速さは、驚異的です。

もちろん、彼らの面白さはいろいろな要素がうまく合わさってのことだと思います。
ですが、このような人々は、ある種の能力が高いという点で共通しています。
このある種の能力とは、連想能力です。
そして、私はこの連想能力にも2つあると思います。

それは、言語連想能力と場面連想能力です。
言語連想能力とは、ある言葉を聞いたときや、ある場面に出くわしたときに、どれだけ多くの言葉を思い浮かべることができるかということです。
例えば「扇風機」という言葉を聞いたりまたはそれを見たとき、皆さんはどれだけの言葉を思い浮かべられますか?

「扇風機」→「うちわ」「扇子」「扇」「クーラー」「扇ぐ」「夏」「換気扇」
「扇」→「千」
「扇」→「せん」→「しない」
「扇」→「選」
「扇」→「洗」
「風」→「プー」→「おなら」
「風」→「プー太郎」
「機」→「機械」
「機」→「気」

今、私は時間を掛けて考えたので、これだけ書け出せましたが、会話の中でならこうはいきません。
普通の人が連想できるのはせいぜい2,3個でしょう。
これでは、たいして気の利いたことは言えません。
ところが、先程の人たちは、連想できる言葉が常人に比べてけた違いに多いのです。
彼らは何十個も連想でき、その中からその場において最も面白いものを瞬時に判断して言えるのです。

次に、場面連想能力とは、ある言葉を聞いたときや、ある場面に出くわしたときに、どれだけ多くの場面や情景を思い浮かべることができるかということです。
例えば「扇風機」という言葉を聞いたりまたはそれを見たとき、皆さんはどれだけの場面や情景を思い浮かべられますか?
「扇風機」→「この人は扇風機に名前を付けて呼んでいたな」
「扇風機」→「扇風機で空を飛べたら面白いな」
「扇風機」→「扇風機に向かってしゃべると声が震えるな」
先程の人たちは、連想できる場面や情景がこれまたけた違いに多いのだと思います。
その中から、最も面白いものを瞬時に選んでいるのです。

このような2つの能力に優れている人たちは、ただ面白いことを言うだけではなく、話をドンドン膨らませてもくれます。
前に言った人の話の接ぎ穂をうまく見つけて、さらに深めたり、別の方向に展開したりしてくれます。
その人がいるだけで、その場は大いに盛り上がり白けることがありません。
その人といるととても楽しいので、当然人気者です。

プロの芸人ほどでないにしても、皆さんの周りにも、このような人がいませんか?
私も何人か知っています。
その人といると、なんでこの人はこんなに気の利いた面白いことを即座に言えるのだろうと感心します。

彼らはもちろんいろいろな個性を持っていて、十把一絡げにはできませんが、言語連想能力と場面連想能力が高いということは共通しているようです。

以前、「マジカル頭脳パワー」という番組で、所ジョージが圧倒的に強かったことを覚えている方も多いと思います。
特に、「マジカルバナナ」のコーナーでの強さは、驚異的でした。
この事実は、彼の連想能力の高さを示していたと思います。

では、このような能力はどうしたら高めることができるのでしょうか?

いろいろな方法があると思いますが、私がまずお勧めするのは、なぞなぞです。
誰か忘れましたが、あるお笑い芸人さんは子供の頃「なぞなぞの天才」と言われていたそうです。

では、なぞなぞについて具体的に考えてみましょう。
例えば、皆さんは「おならをしない機械はな~んだ?」というなぞなぞの答えが分かりますか?
言語連想能力をフル稼働して、考えてください。
「おなら」→「プー」→「風」
「おなら」→「くさい」
「しない」→「せん」→「扇」
「しない」→「市内」
「しない」→「竹刀」
「機械」→「機」
「機械」→「ロボット」
以上のようにたくさんの言葉を連想できれば、最適なものを組み合わせて「扇風機」という答えを出すことができます。
「おなら」「しない」「機械」などという言葉を聞いたとき、できるだけたくさんの言葉を連想できる人が、このなぞなぞを解くことができるのです。
これは、会話で気の利いたことを言える能力と全く同じです。

なぞなぞを解くためには、瞬時にたくさんの言葉を連想することが大切ということは、逆から考えれば、なぞなぞを楽しむことで瞬時にたくさんの言葉を連想する能力を身に付けることができるということでもあるのです。
つまり、なぞなぞを楽しむことで言語連想能力を鍛えることができるのです。
なぞなぞに強くなることで、ユーモア会話術にも強くなる下地ができるのです。

そして、私は言語連想能力を鍛えると自然に場面連想能力も鍛えられるのではないかと考えています。
確たる証拠はないのですが、私にはどうしても関係あるように思えます。

理由の第1は、そもそも、言語というものは必ずイメージを伴うものだということです。
ですから、「扇風機」と聞いてたくさんの言葉を連想できるようになると、同時にたくさんのイメージつまり場面や情景もイメージできるようになるのではないでしょうか?

第2に、最初に挙げた爆笑問題、たけし、所ジョージ、明石家さんま、ダウンタウンなどはみんなこの2つの能力が高いのだから、必ず関係性があるはずだということです。

さらに、私はなぞなぞで言語連想能力や場面連想能力を鍛えることが、いわゆる勉強にもとても役立つと考えています。
例えば、文章を読み取るときには、この2つの能力がとても大切です。

1つの例として、小学生の国語教材「おにたのぼうし」という物語について考えてみます。。
その冒頭の場面は、次のようになっています。

「おにたは、気のいいおにでした。きのうも、まこと君に、なくしたビー玉を、こっそり拾ってきてやりました。この前は、にわか雨の時、ほし物を、茶の間に投げ込んでおきました。お父さんのくつを、ぴかぴかに光らせておいたこともあります。」

このような文章を読んだときに、どの程度自分の中でいろいろなことを連想できるかが読解力の深い浅いを決定付けます。
「おにた」→「鬼の太郎」→「かわいい名前だな」
「気のいい」→「気持ちが優しい」
「気のいいおに」→「泣いた赤鬼に出てくる鬼みたいな感じかな」
「きのうも」→「『も』ということはその前にもあったのかな」
「こっそり」→「見つからないためかな」
「茶の間に投げ込んで」→「これも見つからないためかな」→「ぼくもかばんを投げ込んで遊びに行くことがあるな」

このような連想を次々とすることができれば、この物語を深く読み味わうことができます。
そのためには、もちろん語彙が豊富なことが必要ですが、それだけでは不十分です。
持っている語彙を瞬時に連想して意識の上に上げる能力が必要なのです。
それが、言語連想能力だと私は考えています。

つまり、語彙が豊富なのはもちろん大切ですが、その上に、それを瞬時に連想し引き出す能力も必要なのです。
そして、それを鍛えるのがなぞなぞなのです。

文章を書くときにも、この能力は決定的な役割を果たします。
言葉が次から次へと浮かんでくれば、その中から最適なものを選んで文章を組み立てていくことができます。

さらに、国語だけでなく、社会や算数や理科でも、あらゆる勉強で、この言語連想能力は効果を発揮します。
なぜなら、どんな勉強も言葉を使って行っているからです。

また、ユニークな発想や豊富なアイデアをたくさん出せるようにするのにも役立つと思います。
なぜなら、発想やアイデアというものも、結局は連想能力によってもたらされるものだからです。

以上の理由で、私は家庭でなぞなぞをやることをお勧めします。
なぞなぞは、既にお分かりのように、大変知的な遊びです。
遊びながら、言語連想能力を鍛え、頭の回転を速くしてくれます。
まさに、楽勉です。
さらに、親子のコミュニケーションにも最適です。
親子で、なぞなぞを出し合う時間はとても良い触れ合いの時間になります。

本屋に行けば、なぞなぞの本はたくさん並んでいます。
2,3冊買って、家庭でなぞなぞブームを仕掛けてみてください。

さて、今回は詳しく触れられませんでしたが、連想ゲームやしりとり遊びなどもなぞなぞと同様な効果があると考えられます。

こちらも、ぜひ、やってみてください。
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