私は、子供たちに、豊かな言葉の持ち主になってもらいたいと思っています。
では、豊かな言葉の持ち主になるにはどうすればよいのでしょうか?

まず1つ目は、能力的な面で豊かになることです。

人生では、たくさんの言葉を身に付け、それを使いこなせる能力が必要です。
言い換えれば、語彙力です。
この語彙力が豊かなほど、生活でも学習でも自己実現することができます。
なぜなら、たくさんの言葉を身に付けていれば、よく考えることができるからです。
人は何かを考えるときは、必ず言葉を使って考えるからです。
たくさんの言葉を知っているということは、たくさんの概念を知っているということなのです。
つまり、言葉は思考の乗り物なのです。

特に学習においては、語彙の多い少ないは決定的です。
話を聞き取ったり文章を読み取ったりする能力も、語彙力で決まります。
自分の考えを話したり、文章を書いたりする能力も、語彙力で決まります。

では、どうしたら語彙を豊かにすることができるのでしょうか?
それは、ずばり読書です。
一見、現代では多くの情報が氾濫しているので、読書以外でもたくさんの言葉を身に付けることができそうに思えます。
ですが、深く考えるのに使う言葉をたくさん身に付けるのには読書が1番です。

豊かな言葉の持ち主になるために必要なことの2つ目は、表現やコミュニケーションへの意欲です。
つまり、自分の思いや考えを言葉で表現しようとする意欲です。
そして、言葉を使って他者とのコミュニケーションを積極的に取ろうとする意欲です。
この自己表現とコミュニケーションへの意欲は、豊かな人間関係作りのための基本です。
これは個人の一生の人間関係を左右する、とても大切なものです。
みんなと仲良く楽しく生活していくための、基本中の基本です。

では、この意欲はどうやったら高めることができるのでしょうか?
その第1歩は、家庭での楽しい会話、つまりおしゃべりです。
特に親子での楽しいコミュニケーションのひとときが、大切です。

子供が学校であったことを一生懸命に話し、親がそれに耳を傾ける。
親もその日見たことや自分がしたことを子供に話し、子供がそれに耳を傾ける。
テレビを消して、食事中のひとときをこのように過ごすといいと思います。
このようなひとときが、子供にとってとても大切です。
このとき、子供は表現への意欲を高めコミュニケーションの楽しさを知ります。
家庭でのこの経験が、学校その他で友達と人間関係を作るときのモデルになるのです。

ところで、もともと言葉には2つの要素があります。
思考の手段としての言葉と伝達の手段としての言葉です。

私が最初に言った「たくさんの語彙を身に付けて考える力をつけること」は、「思考の手段としての言葉」に対応したものです。
次に言った「表現やコミュニケーションへの意欲」は、「伝達の手段」に対応したものです。

この2つの面での豊かさを目指すことが、豊かな言葉の持ち主になるために必要なのです。

今の子供たちの言葉は乱れているなどと言って、いたずらに若い世代へのマイナスイメージを作り出してみても始まりません。
私たちがするべきことは、そんなことではありません。
個々の子供たちが豊かな言葉の持ち主になるためにできることを、着実に行うことこそが大切なのです。

そのためにここで挙げたのが、読書と会話です。
この2つが豊かな家庭が、豊かな言葉の持ち主を育むのです。
親野智可等のメルマガ
親野智可等の本
遊びながら楽しく勉強
親野智可等の講演
取材、執筆、お仕事のご依頼
親野智可等のお薦め
親野智可等のHP