先日、2年生の私のクラスのお母さんが次のようなことをお知らせしてくれました。

「がんばって本読みの練習をしているので、ビデオに撮りました」

ここでいう本読みとは、宿題の音読のことです。
察するところ、この子は毎日一生懸命音読をしているのでしょう。

それで、お母さんは、そのがんばる姿をビデオに撮って残しておこうと思ったのでしょう。
これはとてもいいことだと思います。
素晴らしい親力の発揮です。

前にも、ある親御さんが、子供がお風呂洗いをしているところをビデオに撮ったという話をしてくれたことがあります。
ちょうど、新しいビデオを買ったばかりで、何かを撮りたくてうずうずしていたそうです。
毎日がんばってお風呂洗いをする我が子を見て、そのお母さんは、突如、ひらめいたそうです。
「これは撮っておかなくちゃ」
そして、撮り始めてすぐ思ったそうです。
「これを撮らずに何を撮るの?」

それまでは、ビデオというと、観光地へ行ったときとかお誕生日会をやっているときとか
に撮っていたそうです。
後は、親子で遊んでいるところとか、子供たちが遊んでいるところとかだったそうです。
子供ががんばっている姿を撮っておくという発想はなかったそうです。
でも、お風呂洗いを一生懸命やる我が子を撮りながら、思ったそうです。
こういう姿こそ撮っておかなくちゃ、と。

この話はとても参考になりました。
以来、懇談会でもこの話を何回かしてきました。
私の話を聞いて実際にやってみたという報告も、幾つかいただきました。
やってみるととてもよかったと、みんさん言ってくれます。

ぜひ、みなさんもやってみてください。
例えば、次のようなことが考えられます。


家の仕事(お手伝い)をがんばっているところを撮ってやるといいですね。
例えば、一生懸命お風呂洗いをしているところをとってやるのです。
そして、、本人へのインタビューも入れるのもいいですね。
また、少し凝って、きれいになったお風呂に入っている人にインタビューをしてみるのもおもしろいでしょう。
「おとうさん、○○の洗ったお風呂はどうですか?」
「とても気持ちがいいですよ。お風呂を洗わないと、湯垢がつくからね。毎日きれいなお風呂に入れて、疲れが吹っ飛ぶよ」


宿題の音読をがんばっているところを撮ってやるのもお勧めです。
1つの教材を読み始めたときと、1週間くらい練習して上手になったときの両方を撮ってやると効果的です。
自分で上達が確認できて、励みになるからです。
また、1週間後に撮影することを言っておくと、身近な目標になります。
それによって、練習に気合いが入ります。
同じ記録媒体に毎年音読の様子を記録していくと、成長過程がよく分かるので、本人も家族も楽しめます。
毎年、教科書が難しくなっていくのも分かり、子供の読み方が変わっていくのも分かります。
そして、このような日常の1コマを記録しておくと、後で見たときとても懐かしく感じられるものです。


逆上がりが初めてできるようになった日に、その逆上がりの様子を撮るのもいい記念になります。
納豆を初めて食べられるようになった日に、納豆を食べているところを撮るのもいいですね。
ノートの使い方が上手だと先生に褒められた日に、そのノートを見せながら、喜びの一言を語るなどというのもいいですね。
親力125の「記念日の勧め」で書いたように、子供が何らかの成長を見せてくれたときは、その価値をさらに高めるよう演出してやることが大切です。
記念日にするのも1つの方法ですし、映像で記録してやるのも1つの方法です。
このようなちょっとしたことで、子供はその喜びを倍にすることができ、更にがんばろうという気持ちになるのです。


親力123の「学年末に1年間のがんばりや成長を振り返ることで、次の年へのやる気を育てることができる」で書いたように、学期や学年の最後に、子供が持ち帰った絵や工作や習字を持って撮るのもいいですね。
写真でもいいですが、動く映像にはそれなりの良さがあります。
がんばって勉強した証である、教科書やノートやドリルなどでもいいです。
または、何かの賞状やがんばり賞や皆出席賞もいいですね。

このようないろいろな場面で、ぜひ、子供たちのがんばっている姿を映像に残してやってください。
映像に撮ってやるだけでも、励みになるはずです。

さらに、それをいろいろに活用することもできます。
例えば・・・私は、それについて思い出すことがあります。
以前、私は、野球スポーツ少年団でがんばっている子のビデオを見せてもらったことがあります。
練習や試合の様子を、ある男の子のお母さんがビデオで撮ったものでした。
保護者面談のときに、そのお母さんがビデオカメラを持ってきていて、それを見せてくれたのです。
その子は、一生懸命に素振りをしたり、走塁の練習をしたり、大きな声で気合いを入れたりしていました。
打席に入ったときの真剣な表情も、リアルに伝わってきました。
口で「野球をがんばっているんですよ」と言うだけでは伝わらないものが、伝わってきました。
私の知らないその子の一面が、とても新鮮でした。
このように、担任の先生に見せるのもいい方法ですね。
その子に対するイメージアップ間違いなしです。
これから家庭訪問のあるところも多いと思いますので、やってみたらどうでしょうか?
きっと、話も弾むはずです。
新しい担任の先生を前にして「うちでは○○で困ります」などという話をするより、はるかにいいと思います。

おじいちゃん、おばあちゃん、親戚などに送って見てもらうのもいいですね。
おじいちゃんやおばあちゃんは、孫のがんばっている姿を見てとても喜ぶはずです。
そして、その感想を言ってもらったり書いてもらったりすれば、それもまた、子供の励みになります。

自分の家のホームページがある人は、ホームページにアップするということも考えられます。
これなら、親戚や知り合いなどにURLを知らせてやれば、手軽に見てもらえます。
また、自分たちも手軽に見ることができます。

テレビ局に投稿するというのもあります。
たとえ採用されなくても、しばらくは期待が膨らみます。
それに、なんとなく楽しいではないですか。
もし、テレビで流されたりすれば、子供も親も大喜びです。

誕生日や何かの記念日にその映像を見ると、決めておくのもいいですね。
または、親戚が集まるお盆やお正月でもいいでしょう。
1年に1回くらいは、そういう日を決めておくことです。
その日に、映像を見ながら1年間の成長を振り返るのです。
決めておかないとなかなか見る機会はないので、ぜひ決めておくことをお勧めします。

自分ががんばっている姿やうまくやっている姿を自分の目で見るのは、とてもいいことです。
それは、自分に対するいいイメージを作る上でとても効果的な方法なのです。
自分もけっこうがんばってきているなという気持ちが、自分の人間性への信頼になります。
自分もなかなかやるなという気持ちが、自分の能力への信頼になります。
それが、少し大変なことでも乗り越える力になります。
定期的にこういう時間を演出してやることで、自分へのプラスイメージを育ててやり、自己肯定できる子にしてやることができるのです。

スランプに落ち込んだスポーツ選手が、絶好調のときの映像を繰り返し見るという話を聞いたことがあります。
そして、そのいいイメージを自分の頭に焼き付けることでスランプ脱出を図るそうです。
本当は、スランプに落ちる前に、定期的に見ていればもっといいのです。
時間がなければ、そういうときの写真を目に付くところに貼っておくだけでも効果があるのです。

ぜひ、子供たちのがんばっているところを映像で記録してやってください。
そして、それをうまく活用してください。
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