私が「親力で決まる子供の将来」というメールマガジンを創刊しようと決めたのは、2003年の9月でした。
そのとき、本名で出そうかペンネームで出そうか迷いました。

本名で出すのもペンネームで出すのも一長一短だと思いましたが、結局ペンネームで出すことにしました。
それは、安全第一でいこうと考えたからです。

そのとき、私は公立小学校の教師でしたので、インターネット上の活動によって万が一本業に差し支えることが出てくるといけないという気持ちがありました。
当時も今もそうですが、インターネット上では、誰がどんな考えで画面を読んでいるか分かりません。

みんながみんな、善意に解釈してくれるとは限りません。
それに、当時は全国的に教師バッシングが流行のようになっていました。
おまけに、私はパソコンが大の苦手でしたので、どんなミスをするか分かないという不安もありました。
それで、安全のためにペンネームで出すことに決めたのです。

そのとき、既にメールマガジンのタイトルは考えてありました。
それで、タイトルの「親力」をもじって「オヤノチカラ」にしようと決めたのです。
一生懸命がんばっている親(たち)の力になれたらいいな、という願いもありました。
次に、「オヤノチカラ」にどんな漢字を当てはめたらいいか考えました。

「オヤ」は「親」にしようとすぐに決めました。
「ノ」は「野」と「乃」と「之」のどれにしようか迷いましたが、「野」に決めました。
私は、本名の漢字の画数が少ないので、画数の多い漢字を使った名前に憧れを持っていたからです。

「智」は智恵の「智」で、「賢い」という意味を持っています。
「可」は可能性の「可」で、「できる」という意味を持っています。
「等」は平等の「等」で、「等しい」という意味を持っています。

こうして、「親野智可等」という名前ができあがったのです。
全部をまとめると、「どの子にも賢くなる可能性が平等にある」という意味になるわけです。

名前ができあがったとき、とてもうれしかったのを覚えています。
いろいろな願いが込められたいい名前だと思いました。
すぐ自己満足して自画自賛するのは、得意中の得意なのです。
「いい名前もできたから、がんばってメールマガジンを書くぞ!」という気持ちになりました。

ところで、私が今回自分の名前の由来を紹介したのは、1つの詩に心を打たれたからです。
この詩は、「親から子へ伝えたい17の詩」の中に出ています。

名前はその人のためだけに
用意された美しい祈り
若き日の父母が
子に込めた願い

幼きころ 毎日、毎日
数え切れないほどの
美しい祈りを授かった

祈りは身体の一部に変わり
その人となった

だから 心を込めて呼びかけたい
美しい祈りを

毛里 武 作

作者注:この詩は、黒川伊保子さんの「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」をヒントにして書かれました

この詩を読んで、私は感動しました。
「名前はその人のためだけに
 用意された美しい祈り」

本当にそうです。
人の名前にはいろいろな祈りが込められているのです。
それで、1つの例として親野智可等の名前の由来を紹介してみました。

そういえば、私は、あるとき、クラスの名簿を見ながら子どもたちの名前の意味や由来をいろいろ想像してみたことがありました。
このごろの子どもたちの名前は個性的なものが多いので、いろいろな想像ができました。

漢字の意味にこだわって付けた名前、見た感じの美しさを大切にしている名前、耳で聞いたときの感じを大切にしている名前、画数にこだわって付けた名前など、いろいろあります。
雄大な名前、かっこいい名前、優しい名前、かわいい名前など、いろいろあります。

どの名前にも、親たちの、またはおじいちゃんおばあちゃんたちの願いが、いろいろ込められているのだろうと感じられました。

そうやってしばらく子どもたちの名簿を見ているうちに、だんだん責任の重さを感じてこざるを得ませんでした。
一人一人の子どもに、どれだけ多くの願いと祈りが込められていることか!
一人一人の大切な子どもを、徒やおろそかに扱うことはできません。
そう考えると、身が引き締まる思いがしてきたものです。

ところで、みなさん、この詩の最後のところをもう1度読んでみてください。

「だから 心を込めて呼びかけたい
 美しい祈りを 」

そして、自分に問いかけてみてほしいと思います。
今、子どもの名前を呼ぶときに、どう呼びかけているかということを。

というのも、先日もスーパーの駐車場で、あるお母さんが子どもを呼ぶ声を耳にしたからです。
「ゆみっ!ゆみ~っ!!ゆ~み~ぃ~っ!!!(怒)」
という感じでした。

聞いていてつらかったです。
「ゆみ」という名前がどういう漢字なのかは、分かりません。
勝手に「優美」かなと想像してみます。
それなら、きっと、「優しく美しく」という願いが込められているはずです。
そして、名前を付けたころは、その願いを込めながら呼びかけていたはずです。

「優美♪優美ちゃん♪優~美ちゃ~ん♪(にこ)」
という感じでしょうか。
それが、いつの間にか、
「ゆみっ!ゆみ~っ!!ゆ~み~ぃ~っ!!!(怒)」
になってしまっているのではないでしょうか。 

みなさんは、いかがですか?
もし心当たりがあるようでしたら、もう1度最初のころの気持ちを思い出してみてください。
その子の名前を付けたときの気持ちを、もう1度思い出してみてください。
そして、心を込めて呼びかけるようにしましょう。

最も始めやすいのは、子どもが眠っているときです。
すやすや眠っている子どもの寝顔を見ながら、呼びかけてみましょう。
小さい声でもいいですから、実際声に出して呼びかけてみましょう。
美しい祈りである、その子の名前を。

きっと、名前を付けたころの気持ちがよみがえってくるはずです。