わが子は片付けや整理整頓ができません。
どうしたらいいでしょうか?
これは、親の悩みの中で最も多いものの1つです。
この悩みを解決するには、どうしたらいいのでしょうか?

さっそく具体的な手立てを紹介していきたいと思います。

わが子と家庭の実状に合わせて、できるものを試してみてください。

まず、1つめとして、片付けタイムを設定する方法があります。
例えば、毎日午後5時30分になったら必ず15分間片付けをするというように決めておくのです。
その時刻になったら兄弟姉妹みんなが、できたら家族全員が、一斉に片付けをするようにするのです。
タイマーをセットして、その時刻になったら決まった音楽が流れるというようにしておくと忘れずにすみます。
一定期間決まった音楽を流していると、その音楽に慣れてきます。
すると、条件反射のように、その音楽が流れると家中が片付けモードになるようになります。
このように時刻を決めて一斉にやるというのがコツです。
これなら片付けが苦手な子でも、必ず一日に一回は片づけをすることになります。

次に、棚、引き出し、箱などのような収納用品にある工夫をします。
それは、そこに入れるものを明示することです。
例えば、片付けが苦手な子は1つの箱におもちゃでもゲームでも学校用品でも、なんでも入れてしまいます。
でも、箱ごとに、「おもちゃ」「ゲーム」「学校用品」などと明示してあれば、けっこう気を付けるようになるものです。
そして、これは、「同じ物を一ヶ所に集める」という整理整頓の基本を身に付けるのにも役立ちます。

ところで、この明示方法にも少し工夫してください。
できるだけ大きく見やすく書くことが大切です。
大きく見やすく書かれていると、さすがになかなか無視できないものなのです。
そして、状況の変化に応じてすぐに変更できるようにすることも大事です。
ある物が増えて、小さな箱と大きな箱を交換することもあるからです。
物の量に応じて入れ物の大きさを変えるというのも、整理整頓の基本の1つです。
ですから、明示方法を変更しやすくするというのも整理整頓の基本の1つです。
具体的には、書き換えたり貼り替えたりがすぐできるようにするということです。
物によっては、磁石を使うと効果的です。

箱だけでなく、本棚や引き出しにも明示が必要です。
本棚なら、「教科書」「参考書」「辞典」「コミック」などと明示して、場所を決めておくといいでしょう。
明示してあると、使って戻すときにも元の場所に入れることができます。
このように、場所を決めることと、元の場所に戻すことも整理整頓の基本の1つです。
それを身に付けるにも明示することは効果的です。

次に、整理整頓の基本中の基本について考えてみましょう。
整理整頓の基本中の基本とは何でしょうか?
それは、捨てることです。
そもそも、「整理整頓」という言葉の真っ先に来ている「整理」には、「いらない物を取り除くる」という意味が含まれているのです。
例えば、「波木の小枝を整理する」「いらない蔵書を整理する」「余剰人員を整理する」「過剰在庫を整理する」のように使うことからもそれが分かります。
物が多すぎるとその分だけ片付けが大変になります。
ましてや片付けが苦手な子の場合は、特にそうです。
ですから、子どもにも捨てることの大切さと捨てる技術を教えていくことが大切です。

子どもにも、次のようなことを少しずつ教えていくといいでしょう。
・要らない物は捨てる
・○年使わない物は捨てる、と決めておく
・1つ買ったら1つ捨てる
・日曜日は捨てる日と決めておく
 例えば、「日曜日の片付けタイム5時30分になったら要らない物を捨てる」と決めて おくといいでしょう。
・もったいない物はバザーに出す。または、親戚にあげる
 ただし、友達同士で物をあげたりもらったりさせないようにしてください。
・棚、引き出し、箱などの収納用品に収まる範囲を超えたら捨てる
 つまり、収納用品からはみ出すように物を置かないことが大切です。
・捨てにくい物は写真に撮って捨てる
・思い出のある物で捨てたくない物は、きちんと飾るかしまうようにして、大切に扱う
 こういう物をうっかり捨てて後で後悔すると、捨てることが苦手になります。
 親が捨てたいと思っても、子どもには自分の思いがあって捨てたくない場合もあります。
 そういうときは、子どもの気持ちを尊重してください。

子どもが小さいときは、まだ物も少ないので、それほど捨てる必要性がないかも知れません。
でも、年を追う毎に子どもの物も増えていきます。
それに応じて、少しずつ捨てることの大切さと技術を教えていくといいと思います。

次に、大事なことを書いて目に付くところに貼っておくのも効果的です。
例えば、次のようなものです。
「片付け名人の5か条♪」
・5:30から15分間片付けタイム
・同じ物は一ヶ所に集める
・場所を決める
・必ず元の場所に戻す
・要らない物は捨てる

あまり一度にたくさん挙げても無理なので、最初は本当にその子にとって必要なことだけにする方がいいと思います。
できるようになったものに花丸を付けて大いにほめてやり、新しいものを1つ増やすというようにするのもいいと思います。
ただし、これが叱る材料にならないようにしてください。
以上の4つが、具体的な手立てとしてとても大事なものです。

後、細かいことを5つ挙げたいと思います。
・よく使う物を身近で取り出しやすいところにおき、あまり使わない物を奥に仕舞う
・物を積み重ねておくと抜き出せなくなるので、立てて置くようにする
・本棚の本などを手前と奥で二重におくときは、大きい本を奥にして一部でも見えるようにする
(本以外についても同じです)
・少しの隙間をうまく活用する工夫をする
・自分の部屋に出入りする度に、「入ったときよりちょっとだけ美しく」して出ることを教える
(「来たときよりも美しく」という標語のもじり)
最後に、片付けについて教えるとき、親が心得ておくべきことを3つ挙げたいと思います。

このメールマガジンをずっと読んでくれている人にはもうお分かりのことと思いますが、大事なことなので何回でも言いたいと思います。
1つ目は、スモールステップで進むようにするということです。
というのも、一気にできるようには絶対にならないからです。
例えば、次のようなスモールステップです。
まず、一緒にやりながらやり方を教えます。
次に、親が見ているところで自分でやらせますが、必要に応じて言葉での指導をします。
次に、親が見ているところで自分でやらせて、最後に親が指導したりほめたりしてやります。
(これを見届けといいます)

次に、親が見ていないところで自分でやらせて、最後に親が指導したりほめたりしてやります。
次に、親が見ていないところで自分でやらせて、一日おきに親が指導したりほめたりしてやります。
次に、親が見ていないところで自分でやらせて、ときどき抜き打ちで親が指導したりほめたりしてやります。

でも、実際にやり始めても、親がそういう指導を始めたこと自体を忘れてしまうことがほとんどです。
これが、いろいろなしつけがうまくいかない最大の原因なのです。
そして、ある日突然親が思い出して感情的に叱りつけるということの繰り返しです。

ですから、2つ目として、まず親が忘れない工夫をしてください。
例えば、親が忘れない工夫としては次のようなものがあります。
・このスモールステップの表を目に付くところに貼っておく
・親自身の手帳や生活表やスケジュールに、見届けることも予定の1つとして書いておく
・見届けをしたら丸をつける
・携帯のスケジュールに入れておき、毎日アラームが鳴るようにセットしておく

アラームが鳴ると同時に、「整理整頓見届けた?」などと文字が出るようにしておける携帯もあります。
これは、夜の8時くらいに鳴るようにしておいて、文字が「今日は何かほめた?」と出るようにするなど、いろいろなことに使えます。

3つ目として、片付けや整理整頓が苦手な子をできるようにするのは、並大抵のことではないということを理解しておくことが大切です。
いくらやってもできない子は必ずいるのです。
絶対子どものうちにできるようにしてやろう、などとは思わないことです。
そういう思いが強すぎると、そればかり気になり出して、叱ることが多くなってしまいます。
いろいろと合理的な工夫をして、感情的に叱らなくてもすむようにしながら、長い目でそれと付き合うつもりでやってください。