前回までに、子供にストレスをぶつけないために心がけて欲しいことを6つ紹介しました。
私はこれらのことを講演でもお話しているのですが、ある講演の後でちょっと気になる感想をいただきました。
それには、次のように書かれていました。


「お話を伺って、猛反省しました。昨日も、息子が私に『○△□&#¥!!』と言ってきたときこちらも『#○&△%□¥!!』と言い返してしまいました。だって、ひどいことを言ってきたんですよ。ここに書けないような。それで、頭に来て言い返してしまいました。でも、これからは気をつけたいと思います」
 

 私は、これを読んで、少し困りました。
なぜかというと、私の言いたいことを少し誤解しているように思えたからです。
 

私は、親が溜め込んだストレスを子供にぶつけるのはよくないと言いました。
つまり、親には仕事や子育てや人間関係で溜め込んだストレスがあります。
子供が何か良からぬ言動をしたときに、それらの溜め込まれたストレスが子供にぶつけられるのです。それは、絶対によくないことです。
 

でも、この感想にあるのはそういうこととは違います。
子供がなにか失礼なことを言って、親がそれに頭に来て言い返したわけです。
これは、ある意味、健全な反応です。
 

もちろん、子供になにか言われたくらいで頭に来ないような人間になれれば一番いいと思います。
そうなるようつとめるのが人生修業でもあります。
 

でも、そうでない場合、頭に来つつそれを押さえ込むということは、かえって溜め込むことになります。
そして、それは、別の機会に爆発することになります。
 

それこそ、次の日に子供が片づけをしないのを見て、溜め込んだものが出るかも知れません。
そうすると、「なんでだらしがないの!!」などと、必要以上に言い過ぎてしまうことになります。


まったく無関係のところで出るので、その地下水脈が親にも子供にもわかりません。
こういう出し方が一番よくありません。
こういうときに子供は傷つくのです。
 

それだったら、頭に来たときに出してしまった方がはるかに健全ですし、子供も傷つきません。
「なんでそんなこと言うの!」
「そんなこと言われると、むかつく!ムカムカムカムカ!」
「#○&△%□¥!!」
などと、出してしまえばいいのです。
お互い出すものを出して、しばらくしてお互い謝ります。
それで、すっきり終わりです。
 

もちろん、人格否定などの相手を傷つける言葉は厳禁です。
言ってもだいじょうぶな言葉にしてください。
または、「ば、び、ぶ、べ、ぼん!」とか「ぼん、ぼん、ぼん、ぼん!」など、意味のない言葉で怒り合うのもいいでしょう。
これは最高にいい方法です。


とにかく、怒りやイライラを溜め込むより、純粋に上手に出してしまうほうがはるかにいいのです。