ここまで、私は次のことを強調してきました。
子供を叱ることには2つの弊害があるので、叱らなくて済むシステムを工夫して、どうしてもできないことには目を瞑り、ほめることに力を注ごう。
子供が安らかな毎日を送れるよう、親は言葉遣いに気をつけ、受容と共感に心がけよう。


これらはとても大切なことなので、いつも私は口を酸っぱくして言っています。
でも、あるとき、読者の方からこう言われました。


「親野さんの本を読んで、叱らないように努力しました。がまんして、がまんして、がまんして・・・、でも、とうとうがまんできなくなって、最後に大爆発してしまいました」

 
それを聞いて、私は思いました。「たしかに、そういうことはあり得るな」と。
実際、私も教師としてこういうことを何度も経験しました。
がまんすることによって積もり積もったストレスが、あるちょっとしたことで大爆発する可能性は極めて高いのです。
 

ときには、ほんの小さなきっかけが引き金を引くこともあります。
そういうとき、子供のほうは、なぜそんなに怒られるのかわけが分からないわけです。
 

これは、それまで自分が努力してきたことのすべてを、自分で台無しにしてしまう愚行です。
自分で積み上げた積み木を自分で壊す、まことに愚かな行いと言わざるを得ません。
そのときの無力感には、何とも言えないものがあります。
 

また、このような子供との関係でたまるストレス以外にも、いろいろなストレスが日々たまっていきます。
多すぎる仕事、忙しすぎる生活、職場の人間関係、家族の人間関係など、ストレスの要因はあちらこちらにたくさんあります。
 

たまったストレスは常に出口を探しています。
そして、一番ぶつけやすいのが自分より弱い相手です。
それは、親にとっては子供です。
 

親にとって、子供はストレスをぶつける相手として格好の存在です。
実際、親が感情的に叱る場合、その本当の原因は自分の中にたまったストレスであることが多いのです。
 

でも、ほとんどの親はそれに気がついていません。
というのも、「叱るのは子供のため」という錦の御旗があるからです。
少しは気がついていることもありますが、いつの間にか、この錦の御旗によって自分を正当化してしまいます。
 

私は、たくさんの親たちを見てきて、親が自分の感情を上手にコントロールすることは子育ての最大のテーマだと気がつきました。
そして、そのためには、親は自分のストレスを上手にコントロールすることが大切です。
 

親が上手にストレス解消をすること、それは親のためだけでなく子供のためにも極めて大切なことなのです。