子供をほめることについて、私は2つの視点で考えています。
1つは、その子がよくやっていることや熱中していることをほめることです。
もう1つは、しつけたいことを取り敢えずほめることです。


まず1つ目についてです。私は教師のころ、家庭訪問で訪れた家で「お子さんのいいところや長所はどこですか?」と聞いていたことがありました。
でも、この聞き方だと答えられない親がけっこう多いことに気が付きました。
 

それで、少し聞き方を変えて「お子さんがよくやっていることや熱中していることは何ですか?」と聞くようにしました。
そうしたら、ほとんどの親から答えが返ってくるようになりました。
 

「ゴミみたいな物を集めて、セロテープでくっつけてわけのわからない物をつくっています」
「紙にへたくそなマンガを描いて、ホッチキスで留めて本の形にして喜んでいます」
 

実は、これこそがその子のいいところであり長所でもあるのです。


でも、親たちにはそう思えないようなのです。
なぜかというと、これらは親の価値観から見るとどうでもいいことだからです。
 

もし、子供が漢字や計算に熱中しているなら、長所に挙げることができます。
でも、ゴミで何かをつくったりマンガを描いたりなどということは、とても長所とは思えないわけです。
 

でも、ここにこそ、その子のやる気があふれているのです。
ですから、それを大いにほめてやって、同時に、さらにそれを深められるようにできる限りの手助けをしてやって欲しいのです。
 

親の手助けがなければ、ほかの子よりちょっと得意というレベルで終わってしまいます。
でも、親の手助けがあれば、誰にも負けないくらい得意というレベルにまでいくことができるのです。
 

そうなると、子供は大いに自信を持つことができます。
1つのことに自信を持つことで自分自身に自信が持てるようになり、毎日を明るく生き生きと生活できるようになります。
いろいろな面でいい影響が出てきますし、苦手なこともがんばれるようになるものなのです。
 

親が「子供の熱中していることをほめよう。それを手助けして伸ばそう」という意識でいれば、ほめることが確実に増えます。
すると、親子関係にもとてもいい影響が出てきます。


というのも、誰でも、ほめてくれる相手にはいい感情を持つからです。
「親が自分のことをほめてくれる。わかってくれている。認めてくれている」という意識は、親への信頼感に直結していくのです。