前回までで、叱られることが多い子は、自分に自信が持てなくなると同時に親への不信感を持つようになるということを書きました。
 

では、どうして親は子供をガミガミ叱るのでしょうか?
よく言われるのが、「苦手なことを子供のうちに直してやりたいから」という理由です。


たとえば、「大人になって片付けができないと困るから、子供のうちに直してやりたい」などです。
そして、「鉄は熱いうちに打てだから、子供のうちの方が直しやすい」ということもよく言われます。
 

見たところ、世の中の大人はみんな「苦手なことは子供のうちの方が直しやすい」と思っているようです。
でも、本当に子供のうちの方が直しやすいのでしょうか?
 

私は、それは大きな勘違いだと考えています。


確かに、外国語やピアノなどの習得においては、子供はどんどん上達します。
大人が何年もかかるものを、子供は驚くほど短期間でできるようになります。
それで、苦手なものを直すにも子供のうちの方がはやいだろうとみんな漠然と思ってしまっているのです。
 

でも、実は、この2つはまったく違った種類のことなのです。
外国語などができるようになるのは、たとえて言えば乾いたスポンジが水を吸い込むのと同じです。
吸い込ませようと思わなくても吸い込んでしまうのです。
 

それに対して、苦手なことを直すのは、反り返った板を真っ直ぐにするのと同じです。


それには、まずプールで水分を含ませてから、出してプレスします。
一度にやると割れてしまうので少しだけプレスします。
また、プールで水分を含ませて、出してプレスして、プールに入れて・・・というように、何度も繰り返すのです。
 

苦手なことを直すというのは、このような根気の要ることなのです。
このような根気の要ることを続けるには、本人の「絶対に直したい」という強烈なモチベーションが必要です。
 

大人でしたら、大事な書類をなくしてしまったとか、何か大失敗をしてしまったときなどに、「絶対に直したい」という気持ちを強く持つこともあります。
人生の行く末を見通して、「こんなことでは将来どんな失敗をするか分からない。これから片付けができる自分にしていこう」と決意して実行していくこともできます。
 

でも、子供は、人生を見通して「将来大事なものをなくしたりしないよう、今のうちに片づけができるようになろう」などとは考えないものなのです。
子供というものは瞬間瞬間に生きている存在です。
それが子供という存在の本質なのです。


ですから、子供は苦手なことを直すのが本質的に苦手なのです。