ある講演会の真っ最中に、私はこう言いました。

「今から、子どもを伸ばす最高の秘訣をお話しします。
これは、私が23年間の教師生活で、600人以上の子どもを教える中で得た最終的な結論です。
これをやり続ければ、子どもは絶対に伸びます。
そういうすばらしい方法があるのです」

ここまで言うと、下を向いてメモを取っていた人たちの顔が上がるのがわかりました。

身を乗り出すように前屈みになった人もいました。
そして、私は続けて言いました。

「その方法とは、ほめることです」

会場の反応は「し~ん」という感じでした。
「お~!」という感嘆の声はまったくありませんでした。
子どもを伸ばす最高の秘訣を言ったのにもかかわらず、「し~ん」でした。

でも、当然と言えば当然ですね。
私の言ったことが、あまりにも当たり前のことだったのですから。
みんな、「な~んだ」と思ったはずです。
そんなことは、もう何十回も聞いたことがあり、十分わかっていることなのですから。

そこで、私はこう言いました。
「では、みなさん、今日、この会場に来るまでに、わが子、奥さん、旦那さん、おじいちゃん、おばあちゃん、誰でもいいので、誰か家族をほめたという方はいらっしゃいますか?
誰かをほめたという方は拍手をお願いします」

すると、300人の聴衆の中で、拍手してくれたのは10人くらいしかいませんでした。
次に、この会場に来るまでに家族の誰かにほめられた人がいるかどうか、それも聞いてみました。
そうしたら、なんと2、3人しかいませんでした。

この日は土曜日で、講演が始まったのが午後2時30分でした。
ですから、少なくとも午前中は家族と過ごした人が多いと思います。
午前中一緒にいたなら、ほめようという意識さえあればほめられたはずです。
でも、実際にほめた人は、極めて少なかったのです。

これほどまでに、ほめるということは難しいことなのです。
ほめることが大切だということは、みんな、頭ではわかっています。
でも、それを実行している人は少ないのです。

とくに、家族に対して実行している人は少ないのです。
職場や地域の人たちに対しては、実行している人はけっこういます。
でも、これが家族になるとできないのです。
もちろん、子どもに対してできませんし、何より一番できないのが自分の連れ合いをほめることです。

他人はほめられても、子どもや連れ合いなどの家族はほめられないのです。
これは、とても残念なことです。
私たちにとって家族は一番大切な人間関係なのですが、その一番大切な人間関係がおろそかになってしまっているのです。

このようなわけで、私はこれから、ほめ方について書いていきたいと思います。
とくに重点を置くのは子どものほめ方ですが、もちろん家族全員にも、その他いろいろな人たちにも応用が利きます。
あなたがほめ上手になれば、子どもは必ず伸びます。
あなたがほめ上手になれば、夫婦仲もよくなり、家族がみんな幸せになります。
もちろん、職場や地域、その他すべての人間関係がよくなります。

■毎日1回、子どもをほめる

まず、「毎日1回、子どもをほめる」と決意してください。
この決意がとても大切です。
「これからたくさんほめるぞ」「いいところが見つかったら、すぐほめよう」「いいことをしたら絶対ほめるぞ」などという決意では、絶対うまくいきません。
今までも、このような決意をしたことがあるはずです。
でも、続かなかったのです。
こういう決意では、結局ほめられないままで終わるのです。

そうではなく、何が何でも毎日1回は子どもをほめると決意してください。
そして、それが必ずできるような環境とシステムをつくることが大切です。
つまり、忘れようとしても忘れられないようにするのです。
なぜなら、決意だけでは続かないからです。

何事も、自然にできる環境とシステムを工夫することで、継続が可能になるのです。
これは、子どものしつけにおいても自分のしつけにおいても同じです。
そして、これは自分のしつけです。
つまり、毎日1回ほめられるように自分をしつける、ということなのです。

では、ここで、私の取って置きの方法を紹介します。
それは、ケータイのアラーム機能やスケジュール機能(またはタスク機能)を使う方法です。
まず、アラーム機能の使い方です。

たとえば、毎日午前7時にアラームが鳴るようにセットします。
そして、そのとき、特定の画像が表示されるようにセットします。
子どもの笑顔の写真などがおすすめです。
文字も同時に表示できるケータイなら、「今日もほめよう」「今日は何ほめる?」「ほめることを探そう」「ほめて伸ばすが一番」などと表示されるようにセットします。

アラームの音も、鳴ったときびっくりするようなものでなく、聞いて気持ちのいいものにするといいでしょう。
自分のお気に入りの曲にすることもできます。
自分で吹き込んだ声をアラームにすることもできます。

「今日もほめよう」と吹き込めば、アラームを止めるまで「今日もほめよう。今日もほめよう・・・」とずっと言ってくれます。
でも、これを子どもに聞かれるのはまずいですね。
「初心忘るべからず」「初心を大事に」「継続は力なり」などがいいかも知れません。

自分の声が「継続は力なり。継続は力なり・・・」と繰り返し、かわいい子どもの写真が出て、「今日もほめよう」という文も出たら、誰だって「そうだった。何かほめることを探そう」という意識になります。
人間が忘れていても、機械は忘れません
これによって、1日1回は必ずほめることができるようになるのです。

時刻は何時でもいいのです。
午前7なら「よし、今日もほめるぞ」となりますし、午後7時なら「まだほめてなかった。何かないかな?」となります。
午前7時と午後7時というように1日2回鳴るようにセットすれば、さらに完璧です。
午後6時半にセットして夕食のとき必ずほめるとか、午後9時半にセットして就寝前に必ずほめるなどというのもいいでしょう。

勉強のことを毎日ほめたいと思ったら子どもが勉強しているときの写真、お風呂洗いのことでほめ続けたいと思ったらお風呂洗いをがんばっている写真、というようにするのもいいですね。
文も「勉強をほめる」「風呂洗いをほめる」などにします。

別の時刻に、「旦那をほめる」「おばあちゃんに優しく」「同僚をほめる」などというのをセットしてもいいでしょう。

毎週土曜日の午前8時というように、特定の曜日と時刻にセットすることもできます。
「毎日でなくても、毎週1回は必ず」というものは、これにするといいでしょう。

次に、スケジュール機能(またはタスク機能)の使い方です。
ほとんどの人は、ケータイのカレンダーやスケジュール機能にお出かけや行事の予定しか入れていないと思います。
でも、これも自分のしつけに活用することができるのです。
使い方は基本的にアラーム機能の場合と同じで、特定の時刻に、アラーム、画像、文字をセットすることができます。

また、このスケジュール機能は期間限定でセットすることができるのも便利です。
たとえば、「毎月の第1週めだけ、毎日午前8時」というようにセットすることができるのです。

今のケータイはアラームだけでも5種類くらいセットできますし、スケジュール機能やタスク機能も入れればかなりのものをセットできます。
子どもをほめること以外にも、いろいろな面で自分のしつけや自己啓発に活用できます。
日記、片づけ10分、読書10分、ダイエット、などなど、なんでも工夫次第です。
みなさんもいろいろ工夫してみてください。
いい方法がありましたら、ぜひ私にも教えてください。

ただ、増やしすぎると続かないということもありますので、気を付けてください。
なお、ここで書いたことはケータイの機種によってできるものとできないものがありますので、ご注意ください。

ここまで、ケータイを使う方法について書いてきました。
この他にも、パソコンでグーグル・カレンダーやヤフー・カレンダーのスケジュール機能を使う方法もあります。

また、これらのカレンダーに付随して、リマインダー・メールという機能もあります。
これは、あらかじめ決めた時刻に自分宛のメールが届くように設定できる機能です。
その時刻に思い出して欲しいことを書いておけば、その時刻にそのメールが届きます。
パソコンでもケータイでも受信できます。
これも、かなりのおすすめです。
これらについての詳細は書きませんが、いずれも自分をしつけるのに役立てることができます。

みなさん、今まで何回か試みて継続できずに挫折したものがあると思います。
現代のIT機器を使って、ぜひ、再挑戦してみてください。
とくに、子どもを伸ばす最高の秘訣である「ほめること」を継続できるように、工夫してください。
自然にできる環境とシステムをつくって、自分をしつけてください。