これは総合病院の待合室で見た光景です。
診察が終わったらしい5才くらいの男の子とママさんが、自動支払機のところにやってきました。

ママさんが診察券を機械に入れようとしたら、男の子が「ぼくがやる。ぼくがやる」とピョンピョン跳びはねながら言いました。

それで、ママさんは診察券を手渡しました。

そして、診察券を入れる場所がよく見えるように男の子を抱き上げてあげました。
男の子が診察券を入れると、それは機械の中にすうっと吸い取られていきました。

その子は「お~っ!」とうれしそうに言いました。
機械に料金が表示されたのを見て、男の子が「いくら? いくら?」と聞いたので、ママさんが読んであげました。

それから、その子にお札を何枚か渡して、また抱き上げて自分でお札を入れさせてあげました。

でも、うまく入らなかったらしく、機械に押し戻されてしまいました。

それで、ママさんは別のお札を子どもに渡して、子どもはそれを入れました。
今度はうまく入りました。
たぶん、最初のお札は折れ曲がっていたか何かで、不具合があったのでしょう。

その後、もう1枚お札を入れて、次に小銭を2,3枚入れました。
入れる所が小さいので大変そうでしたが、全部入れられたとき男の子は「よし!」とうれしそうに言いました。

次にボタンが点滅したので、ママさんはまた子どもを抱き上げて押させてあげました。
するとおつりの小銭が出てきました。

男の子はそのおつりを財布に入れてチャックをしめ、「はい」とママさんに手渡しました。
すると、ママさんが「ありがとう」と言って、男の子はにっこりしました。

ずっと見ていた私は気持ちがホカホカしてきました。
この子は「自分でお金を払えた」ということで達成感を感じ、また一つ自信がついたと思います。

これはひとえに、ママさんが子どものやりたがったことをしっかりやらせてあげ、必要な手助けもしてあげたからです。
私は「ああ、この子は幸せだな」と思いました。

親がこういう対応をしてくれると、子どもは自分がやりたいと思ったことに果敢に挑めるようになり、チャレンジ精神が育ちます。

しかし、子どもがやりたがってピョンピョン跳びはねたとき、「あんたはいいから。おとなしく待ってなさい」と言ってしまう親も多いと思います。
面倒だし時間もかかるからです。

でも、こういうことが続くと、子どものやる気はしぼんでしまいます。

他の人に大いに迷惑をかけるとか危険が伴うなどの場合ならともかく、そうでないなら、子どもがやりたがっていることはできるだけやらせてあげてください。

子どもの”やる気の旬”を大切にしてあげましょう。
そうすれば、やる気満々の子に育ちます。